安倍晋三元首相が銃撃され亡くなった事件をどう受け止めるか。警視庁で小渕恵三元首相らの警護官(SP)を務めた伊藤隆太・身辺警護SP学院副学院長に聞いた。

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 ◇選挙カーの下、難しい警護に

 選挙中は、警護対象者が街中で不特定多数の有権者に近づくことになるため、非常に危険度が増す。今回は選挙カーの上ではなく、下で演説していたので、警護はさらに難しかったと思われる。元首相のような人物が選挙カーの上に立って演説する場合、屋根に設ける囲いの裏に防弾シートを貼ることが多く、発砲音が聞こえた後にしゃがんで身を守れたかもしれない。

 また、発砲後、SPは即座に反応しないといけないが、容疑者を取り押さえるのが遅かったように見える。後方の警戒が十分だったか疑問が残り、警護の経験も少なかったのかもしれない。アメリカでは大統領が多くの人の前に出るときは防弾ガラスで囲むなどの対策を取る。アメリカとは事情が異なるが、日本でも要人は選挙期間中だけでも、防弾チョッキなどを着けて行動してほしい。