第2波は封じ込め苦戦 死者ゼロが続いたベトナムで何が
ハノイのレストランで8月20日、新型コロナウイルスの
感染防止対策としてプラスチックの仕切り板が取り付
けられたテーブルに集まった人たち=ロイター
第2波は封じ込め苦戦 死者ゼロが続いたベトナムで何が
朝日新聞デジタル 2020/9/1
厳しい隔離措置で新型コロナウイルスを封じ込めてきたベトナムが、感染の再拡大に苦戦している。感染者は1千人を超え、ゼロが続いていた死者は1カ月で28人になった。製造業では中国から生産を移す動きがあるものの、毎月の失業者は10万人に上る。政府は厳格な行動制限ではなく経済活動と両立できる対策を迫られている。
ベトナムでは7月25日、中部のリゾート地ダナンで57歳の男性のコロナ感染が99日ぶりの市中感染と確認された。保健当局は2日間で計5回の検査を実施。陽性の結果は覆らず、市中感染の再発を認めざるを得なかった。同31日には初の死者も出て、最初に感染が確認された1月23日以来続いていた「死者ゼロ」は途切れた。8月25日までの1カ月で再発した市中感染による感染者数は547人に上り、合計は1千人を超えた。死者は32人になっている。
ベトナムはこれまで「第1波」の感染封じ込めに成功したことで、海外からコロナのリスクが低いとみなされてきた。米中貿易摩擦の影響も重なって、「優等生」の評判は、スマホ向け部品など製造業で、外資系企業が生産拠点を中国からベトナムに移す動きを加速させる要因になっていた。それだけに、感染の規模は欧米や日本より小さくても、市中感染による「第2波」はショックが大きい。
世界的な感染が収まらないなか、経済指標は悪化している。政府の統計によると、1~7月に失業手当を申請した労働者数は前年同期比3割増の約68万人に上った。毎月約10万人が失職していることになる。アジア開発銀行(ADB)は感染が長期化すれば、ベトナムの今年の15~24歳の若年労働者の失業率は前年の2倍の13・8%に達すると予想している。ほぼ通常に戻っていた国内観光も再び停滞している。
政府は第1波の時と同じように感染者とその接触者らを追跡して、隔離する措置を進めている。大規模なクラスターが発生したダナンでは航空機の往来を停止。ダナンを訪れた人から感染が広がったハノイや南部ホーチミンでは、バーや露店の営業を休止させた。
しかし、4月にベトナム全土で3週間続けた厳しい外出制限は感染が拡大したダナンなど一部にとどめ、日本を含めた外国の企業関係者ら専門家などの入国も認めている。経済活動を維持するために、強硬な手段は取りにくくなっている。
最大の懸念は、再発した市中感染の感染経路を特定できていないことだ。ロン保健相代行はダナンの患者の遺伝子解析の結果として、今回のウイルスは感染力がより強い変異型だったと国の対策委員会に報告した。出どころは国外と明かしたが、「どの国かは分からない」と述べ、感染経路は謎のままだ。
これに対して、フック首相は新たな市中感染が確認された直後に、違法入国者の取り締まりの徹底を指示している。ダナンでは市中感染の再発が確定した7月25日夜、不法入国を組織するグループのリーダー格とされる中国人の男が逮捕された。直接的には不法入国者と感染の関係は指摘されていないが、不法入国の中国人やあっせんしたベトナム人の逮捕が続いている。(ハノイ=宋光祐)
http://nvkanagawa.blog.fc2.com/blog-entry-1120.html
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聞き手・神田大介
2020年9月24日 7時00分【朝日新聞ポッドキャスト】世界の現場から ベトナム編②
ベトナムは、新型コロナウイルスの感染拡大を封じ込めることに成功し、世界でもコロナ対策の「優等生」と言われています。どのように、感染を抑え込んでいたのでしょうか。つぶさに見ると、強権的な政府の姿勢があらわになったケースもあるようです。
ハノイ支局の宋光祐記者が報告します。朝日新聞ポッドキャストでお聞きください。主な内容は以下の通りです。
・マンションも村も、丸ごと「隔離」
・外国人を監視する公安警察
・目前だった市中感染ゼロ100日
音声の主な内容をテキストでも確認していただけます(音声の内容をそのまま書き起こしたものではありません)
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Q:ベトナムの新型コロナ感染者数は1049人、死者数は35人。人口9600万人の国としてはすごく少ない数字ですが、本当なんですか?
A:最初は私も半信半疑でした。ところが、ベトナムに長く住む方や日本大使館の関係者も「国民に危機を訴える時に数字をごまかすことはないと思う」という回答。この件に関しては、どうも本当のようです。
Q:「この件に関しては」ということは、他ではごまかされていると感じる事例があるんですか。
A:日本やアメリカと比べ、ベトナムは新しい数字がすぐ出てきにくい。報道でも明らかになっている部分が少ない印象はあります。共産党一党独裁の国で、ある程度の情報統制はあるだろうと思っています。センシティブな話はなかなか出てこず、新聞の1面もポジティブなニュースで作っている印象があります。
Q:コロナの感染拡大はどう抑え込んだのでしょうか。
A:最初にやったのは、中国との国境を封鎖することでした。2月初旬には中国からの入国を止めています。日本より1カ月くらい早いのでは。
その後、欧州から感染が拡大し…
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Trả lờiXóaマンション1棟、村は丸ごと隔離 独裁はコロナに強い?
聞き手・神田大介
2020年9月24日 7時00分
【朝日新聞ポッドキャスト】世界の現場から ベトナム編②
ベトナムは、新型コロナウイルスの感染拡大を封じ込めることに成功し、世界でもコロナ対策の「優等生」と言われています。どのように、感染を抑え込んでいたのでしょうか。つぶさに見ると、強権的な政府の姿勢があらわになったケースもあるようです。
ハノイ支局の宋光祐記者が報告します。朝日新聞ポッドキャストでお聞きください。主な内容は以下の通りです。
・マンションも村も、丸ごと「隔離」
・外国人を監視する公安警察
・目前だった市中感染ゼロ100日
音声の主な内容をテキストでも確認していただけます(音声の内容をそのまま書き起こしたものではありません)