香港の繁華街、銅鑼湾(コーズウェイベイ)で水などの物資をまとめるデモ参加者 Juro Osawa/The Wall Street Journal
 【香港】香港政府は5日遅く、民主化を求める学生デモ隊のリーダーらと初めての会談に臨んだ。6日朝には特別行政府の本部庁舎前を占拠していたデモ隊に弾圧が加えられるとの不安が遠のいた。
 デモ参加者の大部分は路上で一夜を過ごした。6日朝にはデモ隊を力で追い払うという警告を警察が実行に移すことはなかった。
 香港中心部、金鐘(アドミラリティ)の添馬スクエアにある政府合同庁舎前では、デモ隊が職場に向かうアクセスの封鎖を解除。前週末3日には政府が封鎖解除を要求していた。ただ、政府庁舎に向かう通路の一部はまだ金属製のバリケードでふさがれており、職員の中には小さな脇道を通って職場に向かう人々もいた。
 この静けさは1週間以上続いた民主化デモが新たな段階に差し掛かったことを示唆している。また、これは民主派がある程度の勝利を収めたことも物語っている。デモの発端は中国政府が次の行政長官選挙で民主派候補を事実上排除する決定を下したことに対する反発だ。
 週明け6日の香港株式市場では主要株価指標となるハンセン指数が安寄りしたもののプラス圏に転じて推移。同指数は3日には0.6%上昇したものの、週間では4週連続で下落していた。
 中国および香港政府は民主派の要求に応じる姿勢を示しておらず、6日朝までにデモ隊が占拠を解かなければ当局が力による行動に訴えるとの懸念が浮上していた。先月28日には警察がデモ隊を分散させるために催涙ガスを利用し、これがデモの拡大を招く引き金になった。
 6日朝までには3つの商業地区すべてでデモ隊の規模が急速に縮小し、参加者の多くは仕事や学校へと戻っていった。